④ 森の建築家、ニワシドリ

ポートモレスビーで観たい野鳥10選

森の建築家、ニワシドリ

(このブログは2025年3月に更新しました)

パプアニューギニアは野鳥観察ツアーの中で最も魅力的なデスティネーションとして、世界中からの愛好家を呼び寄せています。

グリーンランドに次いで世界で 2 番目に大きい島であるニューギニアでは、21世紀となった今でも手つかずの大自然が残り、奥地へ一歩足を踏み入れれば、自然が作り出したとは思えないような極彩色の羽根をもつ鳥たちが、楽園さながらの環境で生き生きと羽ばたいています。そこには、800種類以上の野鳥が生息しており、そのうち390種類は固有種と言われています。ゴクラクチョウ(フウチョウ)やカワセミ、ヒクイドリなど、さまざまな鳥を見ることができるのです。

ポートモレスビー近郊で観たい野鳥10選、第4回の今回は、精巧なアズマヤを作るニワシドリの一種、チャバラニワシドリをご紹介したいと思います。

ニワシドリの仲間たち

ニワシドリはオーストラリア、ニューギニアに分布する鳥で、8種類がオーストラリア固有種、10種類がニューギニアに固有、2種類が双方に生息するそうです。

ポートモレスビーで観られるチャバラニワシドリをご紹介する前に、いろいろな東屋をつくる親戚たちをご紹介します。

まずはオーストラリアの東海岸の熱帯雨林に住むアオアズマヤドリ。

名前の通り、青いですね~~。しつこいくらいに青い(笑)。

すみれっぽい青紫色をした目、メタリックブルーの体、濃紺色の風切羽や尾と、嘴と足以外はすべて青系で統一されています。

ところがこのアオアズマヤドリのオス、自分が青いだけでは物足りないようで、あずま屋も青色のデコレーションで飾り付けます。元々は、ブルーベリーの実や、青い花びらなど自然のものだったのでしょうが、供給不足!で人工物に手を出してしまいました。

以下は、ストローやペットボトルのキャップなど、青いものならなんでも集めてしまったアオアズマヤドリの有名な写真です。

メスを引き付けるためとはいえ、すごい執念ですね。。。。

そして、お次はオーストラリアの北部州の乾燥した森林地帯に住む、オオニワシドリ。こっちはアオアズマヤドリにくらべて、地味系です。

でも、あずま屋は決して地味ではありません。

写真は墓場の近くにあずま屋をつくったオオニワシドリの写真ですが、白、灰色、赤、緑とお気に入りの色の小物があれば、盗むことも厭わない、けなげな鳥です。

写真の骨、小石の他、、緑色のカタツムリの貝や赤い実などを使います。大学の構内に住むオオニワシドリはペン、クリップなどの文房具さえも使うそうです。

庭師なのか東屋なのか?

その名を庭師(にわし)鳥、という。「師」というのは、職業にしているプロや玄人を指す言葉で、教師、医師、猟師や漁師などにも「師」が使われます。庭つくりのプロ、という意味では妥当な命名でしょうが、ニワ師って、なんか投機的な事業で大儲けを狙う「ヤマ師」のようで(笑)

和名ではアズマヤドリ(東屋鳥)という別称もあるようです。

ところで、東屋(あずまや)って、こういうものですよね。

庭園などにある壁のない休憩所、でしょうか。

ちなみにこのような建物はパプアニューギニアではハウスウイン(HAUSWIN) とよばれます。ハウス(家)+ウインド(風)=風の通る家、という意味で、親戚や友人などが集まって歓談したり、バーベキューを楽しんだりする簡易の建物のことです。

でも、ニワシドリのあずま屋とは似ても似つかないですね。

一方、英名のBOWERBIRD の BOWERで検索してみると。。。。 

おおお、これこそニワシドリのバウワーじゃないですか?

bowerという単語は「小道」や「木陰」を意味します。一般的には、樹木や低い茂みの下にできる涼しい場所や隠れた空間を指します。この場所は、自然の中で安らぎや休息を提供するイメージがあります。庭や公園など、自然に囲まれた環境を背景にして使われることが多いです。

また、より文学的な文脈では、bowerは詩や物語の中で愛や秘密、親密さを象徴する場所として描かれることもあります。特に、恋人たちが密会する場所としてロマンチックに表現されることが多いです。これにより、単なる物理的な空間以上の意味を持つようになります。

「天才英単語」より

ふむふむ、恋人たちの密会場所。。。メスを引き付けるために密会場所を作るニワシドリのあずま屋、ますます当てはまりますね。

正統派の庭師

メスの気を引くためなら盗人にさえなるニワシドリの仲間のなかで、今回ご紹介するチャバラニワシドリは、見た目はかなり地味です。自分が地味だからアズマヤでメスを引き付けるんですね。

チャバラニワシドリのアズマヤは緑を主とした飾り付け。緑なら自然の中にたくさんあるので、骨や文房具などを失敬してくることもなく、緑色の果実などを集めて美しい東屋を作ります。地味系・正統派の庭師、と言ってもよいのではないでしょうか?

このチャバラニワシドリ、オーストラリアでは最もへき地のヨーク岬まで出向かないと見ることができませんが、ここ、ポートモレスビーでは首都の空港から車でたった15分ほどの場所で観察することができます。

私も始めてアズマヤを観察した時は興奮しました!

今度は求愛中をぜひ見てみたいものです。

チャバラニワシドリ

レア度 ★★★

観察確率 ★★★

興奮度 ★★★

チャバラニワシドリのアズマヤは、ポートモレスビー郊外の大学の敷地内で観察されることが多いです。

ガイドは場所を熟知していますが、時に場所を変えるので、その場合は候補地を探して歩く可能性もあります。

チャバラニワシドリと出会えるツアー

https://png-japan.co.jp/search_detail.html?KEY=1603426149

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