パプアニューギニアは言わずと知れた海洋国家。海岸部では多種多様な魚介類が獲れます。ちなみに漁業の世界では、どこで獲った、かではなく、どの港で水揚げしたか、で産地が決まります。日本で多く流通している太平洋産のマグロの多くは、焼津での水揚げで「国産マグロ」と言われていますが、実はその多くはパプアニューギニアの海域で獲られたものなんです。
これを刺身にして食べると無茶苦茶美味しいです!
技術は進化していますが、やはり海で獲れたてのマグロと、冷凍して何日も船に乗せてから水揚げするマグロでは、味に大きな違いがあると、思います。
ポートモレスビーでは、老舗の日本食レストラン、大黒さんで、そんな新鮮なマグロの刺身をいただくことができます。
https://www.facebook.com/daikokuharbourcity/?locale=ja_JP
それから、現地ではマッドクラブと呼ばれるノコギリガザミ。大きな爪を持つカニです。日本のズワイガニやタラバガニよりあっさりしていますが、中華食材として重宝され、塩コショウで味付けしたソルト&ペッパー・マッドクラブは、値段は安いのに最高級の味わいです。
マッドクラブは中華料理店のみならず、海沿いの町ではホテルで提供していることも多く、食べる機会は多いと思います。
昔、ニューアイルランド州というところに出張で赴いた際、島のロッジでロブスターが出ました。水で単純に煮込んだだけなのですが、ヤバいレベルの美味。「うわあ、美味しい!!!!」というと、オーナーは、なんだ、そんなのがいいのか、それならもっと取ってきてやろう、とスタッフをダイビングに行かせると、あっという間に10匹ほどのロブスターが追加で。タダだから遠慮するな、と言われても、10匹も食えず、断念。。。
さすがに今はそんなことないでしょうが、パプアニューギニアの海の豊かさを象徴しているエピソードでした。
パプアニューギニアの国民的アルコール、SPビールはオーストラリアには輸出されていますが、その他の国では飲めません。なんと1951年から製造しているというので、1975年独立したパプアニューギニアより歴史が深いじゃないですか??
現在は、シンガポールのタイガービールを所有する会社の傘下に入っていますが、設立当初はオランダのハイネケンの技術だったそうです。美味しいわけだ。
定番は緑のラベルにココナッツの木のデザインのSPラガー。そしてゴクラクチョウのデザインが美しいエキスポート、その他、アイスビールなどもあります。
熱帯のビールらしく、灼熱の太陽に照らされて汗をかいた後にこれを飲むと、キューーーっと体と心に沁みわたります(笑)。一番搾りも、恵比寿もおいしいけど、やっぱり夏になるとSPが恋しくなる。だれか日本に持ち込んで~~~~~(笑)
パプアニューギニアでは果物のバナナも豊富ですが、調理用バナナを主食とする食文化があります。
見た目は緑のもの、黄色いもの、長いもの、短いものがあり、果物として食べるバナナと異なり、ナイフを使わなければ皮を向けないもの、芋のように固いものもあり、味も芋っぽいものから、明らかにバナナと分かるものまで、千差万別です。私も初めて調理用バナナを高地のマウントハーゲンで食べたときは、ナイフとフォークを使って切り刻み、これは絶対にバナナじゃない、芋だろう、と思ったことがありますが、今では普通に食しています。
日本ではフィリピンから、サバ種やカルバダ種というものを輸入していることが多いようですね。
さあ、その中で、史上最強、至高のバナナが、「カラプア」と呼ばれる調理用バナナです。これは黄色く、太っちょで、柔らかいので、手でも皮をむけます。果物バナナに近い柔らかさなので、調理時間も短く、主婦も手間が省けて大喜びです。
その最大の売りは独特の「あま味」と柔らかな食感でしょう。主食なのにデザート感もあり。単独で煮ても良し、鶏肉や、後述するアイビカやカボチャの葉などと煮てもよし、焼いてもよし、なんでもアリです。
カラプアはそのままでも十分に甘いので、調味料なしで食することが多いのですが、パプアニューギニアの人はそれをさらに甘いココナッツミルクで煮るのが大好きで、甘さ200%くらいなのですが(笑)、もうこれに嵌ると、他のバナナは食べられなくなります。
パプアニューギニアのバナナに関して興味のある方は以下のサイトをどうぞ。
バナナの足 研究会 – パプアニューギニア【1】パプアニューギニアとバナナsites.google.com
世界で食べることができないパプアニューギニアの食材が多い中、オーストラリア、カナダ、アメリカなどに輸出されているのが、コーンビーフのオックス&パームです。アマゾンでも出てくるのですが、残念ながら日本へは出荷しないとのこと😢
このコーンビーフ、肉と脂身、塩加減のバランスが絶妙で、これまで食べた世界のコーンビーフの中でも史上ベストの逸品です。
ピクニック時に乾パンなどにそのまま塗って食べるとそのおいしさが引き立ちます。一方、調理では、玉ねぎ、にんじんなどと一緒に炒め、熱いご飯(パプアニューギニアのトゥルカイライスに限ります)にぶっかける「オックス&パーム丼」に頬っぺたが落ちます。それに細かくちぎったインスタントラーメンを汁ごとぶっかけると、ねこまんまの完成ですが、それはさておき。
息子が小さい時のことです、寒い日本を訪れて風邪をひいたとき、何も食べなかったのですが、持ち込んだオックス&パームを食べさせたら、なんと一気に元気回復!
そして、個人的第一位に輝いたのは、パプアニューギニアの庶民の台所に欠かせない葉野菜のアイビカです。
ハイビスカスと同じ系統で、日本ではトロロアオイと呼ばれていますが、食用には使われません。何と勿体ない!!
ちなみにお隣さんのソロモン諸島国では、スリッパリー・キャベツ=滑りやすいキャベツ、と呼ばれているように、ヌルヌルとした食感が特徴です。
熱帯では、茎を植えておけばあっという間に育つので、かつてはうちでも育てていました。
このアイビカ、基本的に豪州人のビジネスマンを相手にしているホテルなどで食べるのは難しいのですが、街のファストフード店(Kai Bar)や、道端で売っているランチパックなどで食べることができます。ラバウルでは、オプショナルツアーで村に行き、「アイギル」、という熱せられた石を使った蒸し焼料理でアイビカをたっぷり食べることができます。
言葉足らずで申し訳ないのですが、このアイビカ、筆舌に尽くしがたい美味しさで、ココナッツ煮ならいくらでも食べれます。鉄分が豊富で、繊維質なので、お通じもよく、身体にも良い。安い、うまい、身体によい、と三拍子そろった、大谷選手顔負けの、パプアニューギニアの野菜部門で、10年連続三冠王、位のすごい奴なんです。
みなさんもパプアニューギニアを旅されたら、ぜひアイビカを試してみてください。
その他にも、パプアニューギニアならではの食材として、サゴヤシから抽出した「サクサク」という澱粉を使った料理の数々(地方によって料理法が違います)、全国的な郷土料理の「ムームー」、パンダナスの巨大な実の「マリタ」、世界的に有名な「アラビカ種コーヒー」など、まだまだありますが、字数の関係と、個人的趣味で以上の5品目に絞りました。他のグルメはまた別の機会に紹介させていただきます。
このコラムで何が言いたかった、というと、
マッドクラブを前菜にしてSPビールをぐびぐび呷り、カラプアバナナとアイビカをココナッツで煮て、トゥルカイライスにオックス&パームをぶっかけたマギー丼を食べたい、今すぐ食べたい~~~~~~、だれか大阪まで持ってこい~~~~!!!という切ない願いでした(笑)
PNGでの隊員生活を終えてから30年、日々自分の常識を超えた物事が起こるPNGの生活は、今でも結構記憶に残っているものだと自負していましたが、この記事を読ませていただいて、当時食べたものをすっかり忘れていることに気づきました。どれも本当に懐かしい!! アイビカやオックス&パームなど、名前まで忘れていたものが、味の記憶まで蘇ってきました・・・ 次の記事も楽しみにしています。
井出さま
コメントありがとうございます。
味の記憶まで蘇ってきた、のは光栄です。
次は外道編が待っています(笑)
お楽しみに!!