圧倒的な規模なら、ゴロカショー(ゴロカ)
(この記事は2025年3月に更新されました)
パプアニューギニアのお祭り5選 ゴロカショー
お祭りデータ
開催場所 東ハイランド州、ゴロカ
行き方 ポートモレスビーより航空機が毎日運航、60分から
開催時期 2025年9月20日(土)~21日(日)
1950年代に始まった伝統あるお祭り
1957年に、統治していたオーストラリア人キアップ(行政官)の発案で、部族と行政との関係改善を目的に始まったというゴロカショー。
1957年に初めて開かれたゴロカショーの貴重な写真、ド迫力です。
農業振興の役割も担うお祭り
ゴロカショーは、野菜などの育成に最適な温暖な気候と相まって、各地の農業産品を展示する意味合いも含まれていました。若いキアップたちにとっては、自分の行政区こそ優れている、と互いに競い合う場所だったのでしょうか?
コーヒーの実。ゴロカはパプアニューギニアのなかでも「コーヒーの首都」、と呼ばれます。
ゴロカ産のコーヒー
色とりどりの野菜が並ぶゴロカの青空市場。キャベツ、人参、ブロッコリー、サツマイモなどが美味しい。
ゴロカ土産ならビルムはいかがでしょう?
農業の他、ビルムという手編みのカバンなど伝統的な手芸品や美術の展示・販売も行われ、さながら東ハイランド州版のミニエキスポ、という態をなしています。
ゴロカ市内で販売されるビルム
自社製のビルムもあります!
「ビルム」とはそもそも女性の子宮の意味だそうで、特にハイランド地方では赤ちゃんをビルムに入れているのをよく見かけます。僕も随分と昔、マーケットですれ違った時、てっきりサツマイモが入っていると思っていたビルムがゴソゴソと動き出したのにビックリした覚えがあります😿
昔はクスクスの毛や木の繊維を使っていましたが、現在は原材料不足で、材料は店で購入する毛糸。中国製だそうですが、決して安くはありません。それを何日も手間暇かけて手作業で編み込むので、東南アジアあたりの工場で大量生産されたようなカバンより随分高いのですが、その分、手作り感と、世界でただ一つの自分だけのカバン=「一点物」の価値があります。ゴロカに行かれた際には、自分のお好みのデザインを探してみてはいかがでしょうか?
コーヒーも良いですが、「一点物」のビルムは思い出に残るお土産になるはずです。
絵画も侮れない
絵画では、東ハイランド州ベナベナ出身のジャクパ・アコさんという有名な画家がいました。元々、ゴロカ教員大学の掃除夫にすぎなかったジャクパさんは、授業を除き見ているうちに自分で絵を描き始め、その才能を認められて授業を受けることを許されます。 さらにその作品が海外の美術商の目に留まり、オーストラリアなどで個展を開くなど、世界に羽ばたきました。ゴロカにはジャクパさんの絵画の影響を受けた画家が多くいます。なお、ジャクパさんの絵本は日本でもアマゾンなどで手に入れることができます
Jaukupa Ako “Face” (Spirit Mask)
ハイランド地方では、マウントハーゲンショーも有名ですが、僕がパプアニューギニアに始めて赴任した1990年代では、マウントハーゲンショーとゴロカショーは隔年開催をしていました。今年はゴロカショー、翌年はマウントハーゲンショー、という感じですね。
それがいつからか毎年の開催になり、8月はマウントハーゲンショー、9月はゴロカショーとなって久しいです。
圧倒的なシンシングループの数
農業もアートも見応え充分ですが、お祭りの主役はなんといっても圧倒的な数の部族によるシンシン・ショー。
同じパプアニューギニアでも、例えばヘラ州といえばフリ族、エンガはエンガ族、マウントハーゲンはメルパ族が中心になりますが、ゴロカはベナ、アサロ、オカパ、ヘンガノフィ、カイナントゥ、ダウロ、と、それぞれの部族がそれぞれに主張しあって譲りません。
それだけまとまりがない、という欠点もあるのですが、部族のるつぼ、MELTING POT といっても差し支えないほどの多様性に満ちているのです。
なので、ゴロカショーなんてイベントがあると、各地から、おれたちこそが本物のの部族だ、とばかりに遠征してくるのでしょうか、とにかく参加する部族の鼻息の荒いこと!!
ゴロカショーは最近の実績で参加部族は100ほど。お隣のマントハーゲンショーに参加する部族が50に満たないことを考えると、その大きさが分かるでしょう。
また、マウントハーゲンと比べて距離が近いからなのか、モロべ州など海岸沿いの村から参加する部族が多く、山の部族と海の部族が一堂に会する、という意味でパプアニューギニアの部族オンパレード感が強いのもゴロカショーの特徴です。
なぜかアポさんもいます。
子供たちも伝統継承のために着飾ります。
みんな、声をからして歌い、踊り狂います。
シンシンとは、そもそもSING SING 、心から歌うこと。エネルギー発散させて踊ること。
各々の部族は休むこともあるのでしょうが、ショーグラウンド全体としては2日間休みなく踊り続けている感じ、恐ろしい程のエネルギーにあふれかえっています。
参加した部族たちは、与えられた時間を最大限に使い、心ゆくまで歌って踊る。ゴロカショーにこそ、シンシン・ショーの原点があるのではないか、と僕は思います。
会場内を自由に見て回れる嬉しさ
ゴロカショーのもう一つの利点は、そんな部族たちを、自分のペースで会場を練り歩いて自由に見て回れることではないでしょうか。もちろん、ガイド付きのツアーではガイドや他のお客さまと一緒に回ることも可能ですが、自分のタイミングで写真や動画を撮りたくなってくれば、集合場所と時間を決めて、離脱することも可能です。
一緒に踊ることも可能
こんな感じで踊ると一生ものの思い出になること間違いなし
ここにもアポさん、発見! 完全に溶け込んでいます。
#旅行会社様を通じ、現地サービス「Goroka Trek & Tours」 でご予約をいただいたお客様は、会場内にユニフォームを着たスタッフがあちこちにいますので、迷ったり、困ったことがあればいつでも頼ることができます。
昔は優秀部族賞というものもあった
かつてのゴロカショーでは、踊りや衣装の優劣を競い合い、実行委員会から優秀賞が与えられていました。みんな踊りに必死なのは、部族のプライドの他、優秀賞を取るためでもあるようでした。以前、僕がゴロカショーに行ったとき、知り合いのチンブー州からの女性シンシングループが、何位かの賞を受賞しました。
黒く、長いゴクラクチョウの羽根飾りが特徴的な美しい衣装のグループでした。たしか、5000キナくらいの賞金だったと思います。
ところが、翌朝、彼らから村まで帰るバス代がない、金を貸してほしい、と泣きが入りました。
賞金はどうしたの、と聞いたら、嬉しさのあまりビールを数ダース購入して飲み干してしまったのだとか。。。チンブーの女性は宵越しの金は持たねえ、豪快ですね~~。そういえばみなさん、二日酔い良いなのかぐったりしてました(笑)
貸すほどの金はなかったので、お断りしました🙇彼らはとぼとぼと歩いて帰ったのでしょうか。。。
ちなみに、争いのもとになるから、という理由で、いまは優秀賞の授与はないそうです。それでも精魂が尽きるまで歌って踊る伝統は続きます。
ゴロカショー以外のおすすめスポット
1.マッドマンショー
ゴロカといえばマッドマン、マッドマンといえばゴロカ、といわれるほどの地元密着型アイコン。もちろん、お祭りにも出場するのですが、大勢の前で動くマッドマンたちは無言劇の役者のようで、ちょっと違和感があるように思えます。
村を守るために「戦った」マッドマンはやはり村で観てこそ、その魅力が分かります。ゴロカショー期間中の土、日は無理ですが、前日の金曜日やショー開催後の月曜日なら村でのパフォーマンスをお楽しみいただけます。
マッドマンツアーの予約はこちら
2. グルポカ山へのハイキング
伝統的なコレコレト村の家並みを眺めながら、畑を抜けてグルポカ山頂までのハイキングを楽しみます。途中、太平洋戦争中にオーストラリア軍が日本軍の戦闘機を狙っていたといわれるマシンガンスポットや、かつて村人が死体を切り裂いて食べる儀式を行っていたという小さな洞窟に入ります。村に戻った後は、その洞窟での儀式に由来するゴーストダンスをご覧ください。ゴーストなのにどこかコミカル、でも迫力いっぱいです。
グルポカ山へのハイキングの予約はこちら
3.ゴロカマーケット
ゴロカの町中にある青空市場。キャベツ、ブロッコリー、ニンジン、イチゴなどの高原野菜・果物や、サツマイモなど、肥沃な大地の恵みがこれでもか、と陳列されているほか、ブタも歩いていて、ワイルド感満載。スリなども多くいますので、安全のため、ガイドと一緒に歩きたいです。
地元の特産でおススメはシュガーフルーツ。パッションフルーツの従妹のような、種の多い果物ですが、味は随分と甘くて、酸っぱい味が際立つ従妹よりも随分と美味しいです。
シュガーフルーツ
ゴロカショーに便利なホテル
バードオブパラダイスホテル 空港近くのメインストリートに面する老舗ホテル。
全食事込みで高めですが安心感が違います。
パシフィックガーデンズホテル 広くて快適なプレミアールームと、狭いけれどもリーズナブルなスタンダードルームがある。
ホテル・フェニックス 空港の裏手にあるホテル。地元では「ステーキハウス」で通っている。
リーズナブルなスタンダードと、少し贅沢なプレミアールームから選べる。
ゴロカショーを訪れるツアー
みなさんも今年こそはぜひゴロカショーを訪れるツアーに予約されてはいかがでしょうか?
ゴロカ空港に到着したエアーニューギニのダッシュ8型機
これがやってくればもう少しで日本まで帰れます!!