ポートモレスビーで観たい野鳥10選
② でてこい、シロエリズクヨタカ
(このブログは2025年2月に更新しました)
パプアニューギニアは野鳥観察ツアーの中で最も魅力的なデスティネーションとして、世界中からの愛好家を呼び寄せています。
グリーンランドに次いで世界で 2 番目に大きい島であるニューギニアでは、21世紀となった今でも手つかずの大自然が残り、奥地へ一歩足を踏み入れれば、自然が作り出したとは思えないような極彩色の羽根をもつ鳥たちが、楽園さながらの環境で生き生きと羽ばたいています。そこには、800種類以上の野鳥が生息しており、そのうち390種類は固有種と言われています。ゴクラクチョウ(フウチョウ)やカワセミ、ヒクイドリなど、さまざまな鳥を見ることができるのです。
ポートモレスビー近郊で観たい野鳥10選、第2回は、パプアニューギニアの固有種、シロエリズクヨタカをご紹介したいと思います。
生物学的にはヨタカの仲間に分類されますが。。。
ヨタカ
「顔は、ところどころ、味噌みそをつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。足は、まるでよぼよぼで、一間いっけんとも歩けません」(宮沢賢治「よだかの星」)
この有名な童話で、主人公のヨダカは、容姿が醜く不格好なゆえに鳥の仲間から嫌われ、鷹からも「鷹の名前を使うことは許さん。市蔵に名前を変えろ、さもなくばつかみ殺してやる」と強要され、故郷を捨てます。
一方、このシロエリズクヨタカにヨタカの醜貌はみられず、大きな淡黄色の眉毛、つぶらな瞳に長い睫毛が特徴的な、あえて言うならフクロウとの混血のような、愛嬌のある顔をしていると思いませんか?
そのシロエリズクヨタカ、私も先日、探しに行きました。
シロエリズクヨタカは樹洞に営巣するのですが、目的の探鳥地には、ちょうどよさそうな洞穴の空いた樹が林立しています。パッと見ただけではどこにいるか分からないのですが、さすが毎日行っているガイド、最近はここにいるはずだ、と目星をつけた木をちょいちょいと叩いて、なにやら話しかけています。
「おうい、ヨダカ君、お休み中に申し訳ない。ちょっと出てきてくれないかね」(ヨダカは夜行性なのです)
「……」
「けっして怪しいものじゃないんだ」
「怪しい人に限って、自分は怪しくないっていうんだよね~~」
「アンドリューだよ、いつも来てるじゃないか」
そのアンドリュー。十分「怪しい」のですが、鳥の世界ではそれなりに信用がある、らしいです。
「何度言われても、市蔵にはならないよ」
「ああ、僕は鷹じゃないから、そんな無茶は言わないよ」
「本当だね??約束だよ!」
という会話があったのかどうかは知りませんが、やがて、カエルのような、フクロウのような坊主頭がおそるおそる頭を出しました。
出てきました!!!!
ここから連写、接写です。
どうですか?可愛いですね~~~~
シロエリズクヨタカは、英語で
しま模様のある、フクロウのようなヨタカ、と名付けられています。
OWLET-NIGHTJAR=ズクヨタカ科は、ヨタカ科とガマクチヨタカ科に近い種類と言われていましたので、シロエリズクヨタカがカエルっぽいような、フクロウのような顔つきをしていることも納得がいきます。
ところが、現在の分類上では、ズクヨタカ科は、アマツバメ目で、その名前とは反し、ヨタカよりも、似ても似つかないハチドリと同じ系統にはいるのだとか??? 詳しい方、教えて!!
ハチドリ
シロエリズクヨタカはオーストラリアズクヨタカと似ており、近年まで同じ種と考えられていたそうですが、こうして並べてみると違いが分かりますね。
こちらがシロエリズクヨタカ
こちらがオーストラリアズクヨタカ
どちらも結構かわいい系、と思いますがいかがでしょうか?
ここからは宮沢賢治の「よだかの星」の要約、抜粋です。
人生(鳥生?)に絶望したヨダカは、お日様に向かって羽ばたきながら、「お日さん、お日さん。どうぞ私をあなたの所へ連れてって下さい。やけ死んでもかまいません。私のようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうか私を連れてって下さい」と願う。けれども、太陽からは「星にたのんでごらん。お前はひるの鳥ではないのだからな」とたらい回し。夜空のオリオン座にその願いを叶えてもらおうとするが、相手にされない。おおいぬ座にも「馬鹿を云うな。たかが鳥じゃないか。おまえの羽根でここまで来るには、億年兆年億兆年だ。」とそっぽを向かれます。切ないですね。
居場所を失い、命をかけて夜空を飛び続けたヨダカは、いつしか燐の火のように青白くしずかに燃え上がる「よだかの星」となり、今でも夜空で燃える存在となったのです。
ニューギニアの夜空を眺めてみれば、南十字星の近くに、シロエリズクヨタカの星が燃えているかもしれません。
シロエリズクヨタカ
レア度 ★★
観察確率 ★★★
興奮度 ★★★★
生息場所である樹洞(木の幹にできた洞穴)を知るガイドと訪れれば、観察確率はほぼ100%。ただし、たまに生息場所を変えるので注意。
シロエリズクヨタカと出会えるツアー
シロエリズクヨタカ観察のナンバーワンスポットはポートモレスビー市内からたったの1時間ほどですが、
生息場所を変える可能性も考えれば、できれば数日をかけた野鳥ツアーの中で訪れたいですね。